Shelter Associates

作成者
プラティマ ジョシ(Shelter Associates、エグゼクティブ ディレクター・創設者)
組織
Shelter Associates
使用したサービス
Google Earth Pro

組織と課題

インドでは、都市居住者の 6 人に 1 人以上が貧困状態にあり、スラム街で暮らしている人も少なくありません。都市部の貧困層の多くは、最も基本的な衛生施設であるトイレを利用できない状況にあります。2015 年の時点で 6,500 万人がインドのスラム街に住んでおり、2020 年には 1 億人に達すると予想されています。

衛生状態が悪いと、水の汚染や伝染病の増加など健康上の問題を引き起こします。さらに、女性の場合は安全面も懸念されます。共同トイレを利用しようと、少女や女性が夜間に 1 人で歩いていれば、ハラスメントや暴行を受ける危険性が高まります。

Shelter Associates は、都市部の貧困層に基本的なインフラと住居を提供することを目指し、1994 年に設立されたインドの市民社会団体です。2013 年、当団体は「One Home One Toilet(1 家庭 1 トイレ)」プロジェクトを立ち上げ、インドの都市部における公衆衛生問題の解決に乗り出しました。上下水道の地図など、スラム街のインフラに関するごく基本的な情報がないことが、インドの都市部の公衆衛生問題を悪化させていたのです。

トイレの場所と各世帯のトイレ状況を示す地図 - Shelter Associates の One Home One Toilet プロジェクトを実施する前(左)と後(右)

活用方法

One Home One Toilet プロジェクトでは、Google Earth プロや他の地理情報システム(GIS)のデータを使用してスラム街のインフラ状況をマップ化し、家にトイレがない世帯や共同トイレを利用できない世帯を明らかにしています。Shelter Associates は各世帯を調査し、水など必須サービスの利用状況に関する情報、および人口統計データを収集。さらに、Google Earth から取得した航空画像の基本地図を使用し、地図上に各世帯を配置しています。

これらの情報をもとに、トイレ、水道、ごみ捨て場など、スラム街の既存のインフラと各家庭における各種サービスの利用状況がわかる新しい地図を作成しました。スラム街のインフラの現状を示すこの地図により、Shelter Associates のスタッフは、家にトイレがない世帯、および下水道や排水設備が整っていないスラム地域を容易に特定することができます。当団体では、地図を利用してインフラの整備や物流を計画したり、(家族の要望に応じて)最終的にどの家庭にトイレを設置したかを報告したりしています。

成果

世帯調査の実施後に作成された地図の例 - 家にトイレがある世帯とない世帯が示されている

これまでは、政策立案者、プロジェクト マネージャー、NGO、受益者が別々に作業することが多かったのですが、GIS とマッピング技術のおかげで、全員が同じフレームワーク内で作業できるようになりました。地図に表示される情報を通じて、皆が同じ現実を共有できるのです。

プラティマ ジョシ(Shelter Associates、エグゼクティブ ディレクター・創設者)

Google Earth プロを導入した結果、マハラシュトラ州の 5 都市で何千人ものスラム街居住者の生活の質が改善されました。20 万世帯以上をマッピングしたおかげで、およそ 9,000 人の住環境と 10.5 万人以上の衛生環境が改善されたのです。One Home One Toilet プロジェクトで作成した地図の情報に基づいて、下水道や排水網が洗浄され、新しい導管が設置されました。自宅にトイレが設置され、共同トイレに行く必要がなくなったため、夜間、女性や少女がハラスメント被害に遭うこともなくなりました。

「最終的な夢は、Shelter Associates の活動を通じ、都市部に住む最貧困層の人々の生活を改善することです。そのためには、地図を使用してデータを視覚化する技術が欠かせません」とジョシ氏は言います。